シャイニング・ライト
使った雑巾を水洗いをしている時に、背後から山崎が声をかけてきた。

 「伊藤さぁ、お前ちゃんとやったんかよ?」

 「・・一応ちゃんとやったけど・・・。」おどおどしながら答える。

 「本当にちゃんとやったっていうんだな?」

 「う・・うん」

 「やったんだな、汚ねえと先公にやりなおしさせられるんだぜ。ちゃんとやったって

言うんだな」掃除当番でもなし、掃除自体もサボっいてる山崎が偉そうに言う。それで

も晃には口に出して抗議する気にはなれなかった。

 「ちゃんと・・・やったつもりだけど・・・」

 「隅々までちゃんと磨いたんだな?」

 「うん・・」
 
 「もう汚れがないほど、ちゃんとやったって言うんだな」

 「うん・・・」晃はそう言ってからハッとした。最初からからむつもりで話しかけて

きたのだ。口車に乗せられて返事をしてしまった。
 
 「そんなにちゃんとやったって言うんなら・・・舐めてみろよ、しっかり綺麗にした

んだろう」

 金沢がニヤニヤと笑いながら、「そうだ舐めろよ、伊藤。しっかりやったって言った

じゃんよ」

 -やはりそう来たか・・・だがもう遅い。[か、勘弁してくれないか・・・冗談だろ」

と言うので精一杯だった。晃は、顔から全身に向かって血の気が引く様な感覚に囚われた。

 「さあ?どうだろうな」ニヤニヤと気味の悪い笑みで二人がこちらに近づいてくる。

声をかけられ、晃は二人の足元に転がった。

 二人がかりでトイレの床に押さえつけられ、頭を擦り付けられる瞬間、晃は目の前が

真っ暗になった・・・・・・・。


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