シャイニング・ライト

-冷たい風が吹き付ける屋上で一人、晃は金網のフェンスを握りながら遠くにそびえる

風景を見つめていた。

 北風が、制服のジャケットを突き抜けて肌寒かった。だが、晃には異様な興奮が身体

全体を包んで、寒さを感じることはなかった。

 「死んでやろう・・・」

 キュッと唇を噛み締めた。口の中には、トイレで舐めさせられたタイルの感触と、か

び臭いような臭気が口に残っていた。

 -こんな人生まっぴらだ。

 晃は、フェンスに両手両足をかけた。右手、左足とフェンスにかけていく。死にゃこ

んな苦しみから逃げられる。暴力を振るわれ、

 からかわれ、笑い者にされた挙句の果てに気持悪がられて・・・。この高校生活で楽

しさとか夢中になった事自体ないなぁ・・・。

 -でも、そう思うのもすぐ終わる。死んでしまえば何思う事もないんだからさ。

 フェンスを越えようとした時だった。

 「何やってんのよ、降りなさいよ!」と、誰かが背中をわし掴みしてきた。
 
 晃は、不意の出来事に驚いてフェンスからずり落ち、下にいた女の子の上に倒れ込ん

だ。

 
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