heart to heart ＋love☆

★大学生篇

キミが不機嫌な理由 *side 律*

「明日から入院するの」


平気な顔をして言い放つ。

まるで遠足に行くかのように、暇つぶしグッズを買い集める柚希。

普通の感覚じゃないな…。


「なんで？急に？」

「前から入院する予定にはなってたけど、日にちは急に決まったかな？ベッドが空いたんだって」

「あぁ…そう。でも、なんで？」


雑誌コーナーでファッション誌とマンガを選んだあと、オレの顔を見て笑う。


「やだ、心配しちゃった？ただの検査入院だから、大丈夫だよ」


柚希は今、大学病院の受付で医療事務をやっている。

オレはというと、医学部1年生。

まだ医学をかじる手前。

早く医者になりたくて、心理学とか哲学とか、無駄に思えてくる。

柚希は毎月給料をもらって、立派な社会人なのにさぁ…。


「検査入院って、何日くらい？」

「先生は５日くらいって」

「ふぅん…」

「あ、お見舞いは来なくていいよ」

「なんでだよ！？」


えらくアッサリしてる柚希。

思わず“薄情な”なんて思ったじゃん。


「だってぇ～、律はすぐ心配するんだもん」

「そりゃ心配するだろ！？」

「…そんなにか弱くないんだけどなぁ…」


か弱いとか、そういう問題じゃないだろ！？

好きな女のこと、知りたいって思うのは普通じゃないのか？

どうも柚希とオレには感覚のズレがあるようで、なぜか煙たがられている。


「とにかく、来なくても大丈夫だから！律は勉強頑張って！」


避けられてるのか？

そうだとしたら！？