heart to heart +love☆
入院の当日の朝、柚希からのメールはパッタリと来なくなった。

院内はケータイ禁止だから。

そう言ってたけど、場所によってはOKのところもあるはずなのに。

高校生のときは入院中もメールくれたじゃん??

講義中、何度もケータイチェックしてはタメ息ついてるオレ。

…そういうとこがウザイのか!?


「道重~、昼飯どうする?」


やっと午前中の講義が終わって、友達が昼ごはんに誘ってくれたけど…

やっぱ心配なんだよ!


「悪い、オレちょっと用事。もしかしたら午後は代返頼むかも」

「マジかよ~?遺伝学だぞ~?」


遺伝学の教授はしっかり出席をとるから、もしかしたら代理返事はバレるかもしれない。

けど、オレには遺伝学の単位よりも大事なものがあるんだってば。

秋風の吹く中庭を抜けて、徒歩1分で医大病院に到着。

案内表示で“心臓外科・循環器内科病棟”を探していた…その時だった。


「来なくていいって言ったのに」


後ろから声がしたかと思ったら、大きなカバンを下げた柚希が立っていた。

たぶん、今から入院なんだろう。

なんとなく不機嫌そう。


「…っていうか、来てほしくない」


柚希のとげのある言葉に戸惑う。

正直傷つく。


「なんで?理由聞きたい」

「とにかく嫌なの!会いたくない。だから帰って」


付き合ってから今まで、それなりにケンカはしてきたけど、“会いたくない”なんて言われたことなかったのに。

しかも突然??

呆然としてたら、あっという間に柚希の姿は見えなくなった。

なんでだよ!?

意味わかんないし!

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