heart to heart +love☆
夕食のあと彩乃が言う。


「どうするー?部屋にシャワーついてるけど、大浴場もあるんだって」

「ふーん…彩乃はどうする?」

「せっかくだし大浴場行ってこようかなぁ~、温泉気分で♪」

「そっか、私はシャワーでいいや。実はあんまりお風呂に浸かっちゃいけないんだ」


それは事実。

水圧の関係?

お湯に浸かるってことが心臓に負担になるらしく、小さい頃からシャワーだけ。

それが当たり前だし、自分が不幸だとも思わないけど…

彩乃が部屋を出て行ってから、先生の言いつけどおり薬を飲む。

相変わらず多い。

他人が見たら、きっと引いちゃうくらいに大量なんだよねぇ。

こういうとき、自分は病気だったんだって気付く。

普段は忘れてるけどさ。


カラスの行水並みにシャワーを済ませた後、ケータイを見ると新着メール。

あ、律からだ。


_今なにしてんの?


なんか嬉しくなって電話した。

1コールするかしないかのタイミングで、律の声が聞こえた。


『もしもーし』

「もしもし?早いよ、出るの」

『だって今ケータイ触ってたし』


なんだー。

私が電話かけるのを予測してたのかと思ったじゃん。

そこまでカンは働かないかな?


『今なにしてんの?』

「んー、今ねぇテレビ見てる。律はー?」

『さっきまで先生と話してて、今部屋に戻ってきたとこ』

「そうなんだ。テラくんは?」

『それがさぁ~、いないんだよね。風呂でも行ったのかも。里崎は?』

「彩乃はお風呂に行ってるよ」


そう言った時に、部屋の呼び鈴が鳴った。





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