真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。






『君のお父さんが、お亡くなりになった』





私は、何もいえないまま電話を切ってしまった。

そして、再びソファにうつぶせにダイブした。


「お嬢様、ただいま帰りました」

その後すぐ晴馬は帰ってきた。でも私は答える元気なんてなかった。


「はる…ま」

「お嬢様…?どうかしましたか?」

「お、と…さん…お父さんが…」


堪えきれない涙が溢れてきて、ソファをじわじわと濡らした。


晴馬が今どんな表情をしているのかわからないけど、黙っているから事態を察したのだろう。



< 10 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop