真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。
私は藤堂悠奈(ゆな)。
藤堂財閥の御曹司。
お母さんはいないけど、お父さんと執事の晴馬が家にいてくれているから、もう心細くなんか無かった。
私のお母さんは、たとえいい家柄でもそれを棚にあげる行動をしないことはおろか、どんな家柄でも職業でも、すべてを尊重する優しい人だった。
もちろん、お父さんだってそうだ。
お母さんが死んだ後、当時幼かった私を男手一人で私をここまで育ててくれた大事なお父さん。
そんなお父さんが私は大好きだ。
そして、5年前くらいから藤堂家の執事として働いている、佐倉晴馬。彼も私が落ち込んでいるときや分からない宿題があるとき、どんなときでも声をかけてくれる。
今まで勤めてきた執事の中で一番年の近い私のお兄さん的な存在だ。