真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。
「嘘だって言って…」
「何がですか?」
「晴馬は…晴馬はっ…」
「あぁ…"嘘"というのは」
ぎりりっと腕を強く握られる。痛い。痛い。
「俺が、あなたの兄だということですか?」
言葉が出ない。
まさか、まさか。
本当に本当に…晴馬は…。
「お兄…さん?」
目を見開いたままぽつりと言えば、晴馬はキッと私を睨んだ。見たことのない顔にびくっと肩が震えた。
「俺だって……こんなこと信じたくないさ…」
"信じたくない"
つまり、晴馬も私も
兄妹だという記憶は無かったということ…?