真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。
と、ガチャッとドアが開いた。誰か、なんて分かりきってることだったから、あえて顔は上げなかった。
「悠奈お嬢様」
凛とした懐かしい声が鼓膜を震わせる。
希望を胸にバッと顔を上げる。だが、瞳に映るのは、昨日の晴馬だった。
一瞬にして残念そうな顔になったのか、晴馬は実に楽しそうな笑みで
「おはよう」
と告げた。
その顔を見た瞬間、昨夜のことが一気にフラッシュバック。
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