真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。
5、真相
俺は藤堂家の執事として働いている。
何かのきっかけで出会った旦那様に、働いてくれないかと頼まれた。
当時は驚いた。あの藤堂財閥の社長が俺に頼みごとをしている?
親にOKをもらい、俺も当然受け入れた。
屋敷に連れられて、そこで初めて旦那様の娘さんのお嬢に会った。
「晴馬。娘の悠奈だ」
「はじめまして、悠奈お嬢様。本日より執事として働かせていただきます、佐倉晴馬と申します」
「と、藤堂ゆなです…よろしくね、晴馬」
当時の彼女は人見知りなのか、軽く挨拶を済ませるとそそくさと自室に戻っていった。