真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。
だいぶ時が流れ、彼女も中学生になった。
その時にはすでに彼女は俺に馴染んでくれていたし、頼ってくれた。
「晴馬が焼いてくれるクッキー、すごくおいしいね!!」
時には笑い
「成績悪かったんだぁ…もっと頭よくなりたいなー…」
時には落ち込み
「今日ね、先生に褒められたんだ!」
時には喜び
「蹴ったボールが頭にぶつかったの!!」
ときには怒っていた。
そんな豊かな表情を、自分だけが見ている。そう思うだけで心が満たされていく気がした。
彼女に恋をした
始まりだった。