BLUE
汚れている上に少しよれよれだが、使えなくはないスクールバッグに、多少傷物になってしまったが唯一無事なペンケースを放り込む。
そして紙屑をごみ箱に突っ込むと、教室から去った。

小さな水溜まりだけが、そこに残っていた。


なんだか、走りたい気分だった。
疲れても体に無理矢理鞭を打ち、足を走らせる。
着いたときには息も絶え絶えとし、足から力が抜け地面に膝をついた。

幸い、下が砂のおかげでつけた膝を痛めることはなく、私はただ目の前の景色を見つめる。
自分の荒い呼吸に交じって波の音が耳に届いた。


「綺麗…」


口から自然に零れた言葉は本心からのものだった。

海なんて来たの、何年ぶりだろうか。
懐かしさに思わず目を細めた。
私の住んでいる町は海に面していて、小さい頃に良く親と来ていた覚えがある。
ごみ一つ無く汚れていない青い海。それは月の光できらきらと輝いていた。
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