BLUE
まだ少しふらつくが、ゆっくりと立ち上がる。
靴を脱ぐと、夜のひんやりとした空気が足を覆った。
視線はその幻想的な景色から離さず、そっと裸足で歩みを進める。

湿った砂が足の裏につくがそれを気にもせず進んで行く。
気づけば膝の上まで海水で満たされていた。
そのまま進んでいけば、いつの間にか下半身は海水の中に姿を消している。

なにかの映画かドラマの1シーンでこんなのがあった気がする。
結構有名な女優さんが今の私みたいに海に浸されていて…。
あんな風に、綺麗ではないけれど。
だんだん、足が着かなくなってくる。
玲は一気に体を海の中へと沈めた。

ごぽごぽ、ごぽごぽ。
流されて、沈んでいく体。
微かな光が群青に包まれる私を照らそうとするけれど届かない。
水が私の中に流れていく。
酸素はもう、無かった。
このまま、融けられたらいいのに。
そう思ったまま意識が黒に沈んでいく。

だがぷつり、と切れる前に玲の意識は黒の淵から浮上した。
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