BLUE
「、 ごほっ、ごほ!」


水が器官を通って口から吐き出される。
暫く咳き込み、落ち着きを取り戻すと、誰かに体を支えられていることに気づいた。
足は爪先立ちしても地にはつかないことから、結構深い所まで流れてきたようだ。


「大丈夫か?」


心地好い低音の声が耳に届く。
視線をゆるゆると上げていくと真っ黒な、綺麗な瞳と目があった。
私は思わず見つめる。


「…綺麗」


思わず唇から零れ落ちた。

月の光に少し長めの黒髪が透けている。
青年はふっと笑うと、言葉を放った。


「…こんなところで、何をしてたんだ?」


私が沈んでからそこまで経たないうちに助けたのだから、一部始終見ていただろうことは予想できる。
死のうとしていたことも知っているのだろう。
それでも青年は玲に何をしていたのか、と問い掛けた。
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