君を好きになって



まだ、彼女の伝説は続く。





何も、勉強だけが人生じゃないと言わんばかりに、その能力、体力は部活でも躍進した。





中学の頃は、先輩の勧誘に押し切られ、半ば強制的に吹奏楽部に入ってしまった(あまり強くはないチーム)ためか、文化系の団体競技は指導者、個人の技術力も揃ってないと勝てないので、まぁあの時は眠れる森の獅子だったのかもしれない。



要は、中学時代の彼女は主に部活面で大衆の歓声を受けるほどの活躍は見られなかったのである。




しかし、高校に入ってからは違った。硬式テニス部に入ったのだ。それも結構県内では強豪とよばれるチームに。




正直それまで姉とは皆無の関係に等しかったスポーツを選んだことに驚いたが、あの恐怖の数学塾に加え(数学は中学の時から通っていた)、週一ではあるが、ほとんど数学塾と温度差のない指導方針の英語塾にも通うことになったため、かなり部活を続ける面ではきつかったと思う。




けれど、そんなこっちの予想に反して、2年の夏、インターハイ出場が決まった。。。





私は、彼女がレギュラーだったこともおろか、まさかのシングルスで試合に臨むまでになっていたとは知る由もなかった。



なのに、その後も国体なんかも出たりして、もうこの人は、家の一族じゃないかもしれないなんてバカなことを考えたりもしたものだ。





習ったこともないテニスで、しかも中学まで文化系だったやつが、だ。





けど、





何もかも、知らなかった訳じゃない。





いつも朝は姉がいなかった。高校に入ってから、顔を合わせることなんて、本当に片手で数えるくらいしかなかったと思う。




それは、イコール毎朝5時に起きて、朝練に行くことを続けてたからってこと。




ちゃんと知っていた。









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