残骸
 遠くから今更ながらに消防車がやってくる。

 炎は木造アパートだけでは飽きたらず、隣家にも襲いかかった。

「いやぁ、誰か消して消して!」
「消防車! 何やってるんだ! うちが燃えてしまうだろうが!!」
「水だ! 水もってこい」

 隣の家族が騒いでいる。
 
 良いじゃないかまだ少し火がついた程度だろう……俺の家はもう全部、何一つ残らず全部燃えたんだ。
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