My dear lady !
「ごめんなさい。つい夢中になってしまいました」



慌てて謝ると、じいはバックミラー越しに微笑みました。



じいは、いつも優しいのです。



「学校に寄っていきましょうか。それとも、直接御自宅に向かわれますか」



「家に行って下さい。明日の入学式まで楽しみはとっておきたいのです」



窓を開けると、ピンク色の花びらが一枚ひらりと舞い込み膝の上に落ちました。




「春ですね、お嬢様」





「ええ。今度、お花見に行きましょう」





「仰せのままに、お嬢様」




私は、花びらに指でそっと触れました。




今年の春は希望の予感がします。



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