大嫌いだから、ね? ②(短編)
「・・・よくわからない」



 私は正直な気持ちを、口にした。



「私、好きだとかよくわからないし。

 光くんの気持ちもわからない。

 私の中では光くんはいじわるな、光くんで・・・今は違うけど。

 でも、でも、みんながいうように、好きだとかつきあうとかは考えたことがないの」




 だれかを、大好きっていう気持ちをまだ、私は知らない。

 周りからいろいろいわれる言葉に戸惑うばかりで、どうしていいのか、わからない。

 私は、うつむいてしまう。

 その頭に長岡くんが手を置いた。



「ごめんね、陽菜さん。

 陽菜さん自身よくわかっていないことを無理にきいたみたいで。

 陽菜さんは、みんなよりもゆっくりなんだね。

 とっても、そういうとこ、可愛いって思うよ」

「え?」



 顔をあげると、長岡くんは優しく笑った。

 それから、まとめた資料を両腕に抱えた。






 
< 25 / 40 >

この作品をシェア

pagetop