大嫌いだから、ね? ②(短編)
 光くんは私を引きずるように歩いていって、ようやく屋上の扉の前で止まった。

 乱暴に手をはなされて、私は屋上の施錠された扉に背中をぶつけた。



 バンッ!



 音を発てて、私の顔の横に光くんは手をついた。

 息がかかるほど、近い距離に光くんの、整った顔があった。



「おまえ? わからない、ほんとうに、おれの気持ち?」

「ひ、光くん?」

「にぶいにも、ほどがあるぜ? 

 本当に、全然、わからない? 

 それにいじめっこってなに? おれもう、それ、やめたつもりなんだけど?

 ---それともいじめてほしいのか?」



 光くんの大きな手が私の両頬をつかんだ。



 そのまま、顔を動けなくする。

 目を閉じた光くんの睫は長くて・・・そのまま、噛み付くかのように乱暴に、光くんは私にキスした。
< 28 / 40 >

この作品をシェア

pagetop