大嫌いだから、ね? ②(短編)
 ほんとに速い。

 だから、私はいつも、いつも逃げても、光くんにつかまったんだなって・・・思った。



 五月の終わりは、梅雨入りが近いせいか、雨が多い。

 学校帰り、駅に着くと、さっきまでの小雨はやんでいた。

 ぬれている赤い傘を手に持って、歩き出すと、前方に、久しぶりに光くんの姿がみえた。



「・・・」

「・・・」



 目が合っても、光くんはそらさなかった。



 だけど・・・今度は私からそらした。



 そのまま、横道にぱっとはいって駆け出した。



 おもいっきり、できる限り全速力で。

 雨でぬれた歩道で足を取られそうになるけど、なんとか転ばないように。




 ーーー私がにげると、光くんは必ず、追いかけてくる。



 それは半ば、決まりごと。


 ずっと・・・ずっと小さな頃からの。

 
 
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