大嫌いだから、ね? ②(短編)
「あ、ありがとう光くん。でも、平気だから」



 お礼を言って、でも受け取ろうと手を出すと、光くんは首を振った。



「だめ。

 陽菜が運んでたらつくまえにぶちまけて周囲に多大な迷惑をかけるか・・・それとも、ラーメンが汁を吸ってうどんみたくかわるかのどちらかしかない」

「そんなことないもん」


 否定したけど、確かに、やりそうだったので、強くはいえなかった。



「どこに座るんだ?」

「えっと、窓際のとこ」

「窓際ねぇ? 運ぶのに苦労してんのに、そんな遠くえらぶかな?」

「ほかに開いてなかったし。それに、中庭が見えて、綺麗なんだよ」

「ふうん」

 

 興味なさそうにいって、光くんはすいすい人ごみを抜けていく。

 私はその広い背中に、少し早足でついていく。




 
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