大嫌いだから、ね? ②(短編)
 
 いつも追いかけられて逃げてばかりだったから・・・光くんの背中みるの、はじめてだなってふと思った。

 広い背中だ。

 身長も高い。私はいつも見上げてばかりだ。



「ここ?」



 光くんが窓際までいって立ち止まった。

 そこには、理佳はいなかった。

 でも、カレーライスのトレーが置かれている。

 たぶん、お水をとりにいったんじゃないかな?

 理佳と、私のポーチがあるし。



「うん、ありがとう、光くん」

「どういたしまして」



 いいながら、光くんはトレーをテーブルの上においてくれた。

 私は椅子に座る。

 窓の外には桜の木と花壇。

 桜の木は花はもう散ってしまって、青々とした葉を茂らせている。

 花壇には色とりどりのチューリップが行儀よく並んで植えられていた。

 奥のほうには、可愛らしいすずらんの花も見えた。

 よく手入れされてるなぁ・・・と窓越しに眺めていたら、かたんと椅子を引く音がした。




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