無色少女

「なあ……名前は……」

「無い」

この子の言葉には修飾語がない

「無いって……」

「でも…幼い頃は……別にいい……」

少女は何か言おうとして止めた

理由は分からない

「あのさ…俺は軌道千地 適当に呼んでくれていいから」

「……わかった」

今は昼だけど時間が経つのは早い

少女が段ボールから荷物を出して1つの部屋に入る


「軌道さん 私この部屋つかっていい?」

「えっああ 俺は隣を使うよ」

少女は返事をせず部屋に入っていく

それからしばらくして

少女が出てきた

「お風呂入る」

それだけ言って風呂場に向かう

「普通言うのか?」




少女があがってきた白いTシャツにグレーの短パン

スタスタと俺の前を通りすぎる

俺は少女の後ろ姿を眺める

「!?」

少女の白いシャツからはうっすらと見えたのは

無数の傷跡

切りつけられたのや銃弾の跡がある

「お前背中……」

「……私はある殺し屋のメンバーなの」

< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop