純恋〜スミレ〜【完】
「これでよかったか?」
「うん。ありがとう」
ベンチに腰掛けて優輝が買って来てくれたオレンジジュースを受け取る。
公園内に人はまばらで。
駅に向かう高校生や会社帰りのサラリーマンが公園の中をショートカットしていく。
「……あ」
ポケットの中に手を突っ込んで何かを取り出した優輝。
その手にはグシャグシャになった赤マルの箱。
「ありえねぇ……。最後の一本だったのに」
「もうないの?」
何気なく放った一言。
あれ……?
その時、妙な違和感を感じて。
あたし、この光景を夢で見た。
この公園で、優輝とベンチに座って、煙草の話をして……。
今の会話だって夢と全く一緒。
正夢……――?
これって夢が現実になったってこと?