純恋〜スミレ〜【完】
あたしには恋愛しかなかったんだもん。


アパートは普通だったけど、大学生で高級車に乗っている達也を友達は羨ましがった。


『純恋の彼氏、マジVIPじゃん。超うらやましいんだけど!!』


『ねぇ、あたしも純恋の彼氏の車に乗せてほしいんだけど。頼んでよ~?』


『彼氏カッコよくない?やっぱ付き合うなら絶対年上!!』


黒いピカピカのプレジデントの窓を全開に開けて、流行りの洋楽の曲をかけて校門の前で待っていてくれた達也。


助手席に滑り込むように乗りこむと、積み込んであるウーファ―の重低音がお腹に響いて。


まるでクラブにいるみたいで。


『この学校の中で純恋が一番可愛いな』


そう言ってあたしの頭を撫でてくれた達也を思い出して、胸がギュッと締めつけられる。


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