純恋〜スミレ〜【完】
「……――もしかして、優輝?」
その時、唐突に誰かが優輝の名前を呼んだ。
ふと顔を持ち上げると、目の前にかき氷を持った綺麗な女の人が立っていた。
「……――あぁ。お前も来てたのか?」
「友達とね。もしかして優輝の新しい彼女?」
「あぁ」
優輝が頷いたと同時に、女の人はあたしに視線を向ける。
上から下まで、見定められているみたい。
何となくいい気がしない。
「こんにちは。あたし、優輝の元カノの麗華(れいか)。あなたは?」
「白石……純恋です」
「……純恋ちゃん?可愛い名前ね。ねぇ、ちょっとお邪魔してもいい?」
「えっ?」
麗華さんはあたしの返事を聞くことなく優輝の隣に腰を下ろした。