純恋〜スミレ〜【完】
自分の首には安物のネックレス。
去年と同じ水着。
マニキュアを塗っただけのケアの行き届いていない爪。
ペディキュアなんて剥がれかけてる。
あたし、やっぱり、この人に負けた。
思わず足の指に力を込めて内側に丸めこんだ。
剥がれかけてるペディキュアが麗華さんに見えないように。
ちっぽけなプライドを守るために。
「あっ、純恋ちゃんの水着可愛い~。どこで買ったの~?」
ほら、やっぱり。
さっきまで優輝とのお喋りに夢中だった彼女は、あたしを上から下まで舐めまわす様に見つめてそう言った。