純恋〜スミレ〜【完】
「黒い水着ってセクシーだよね~。あたしも黒買えばよかったぁ」


「麗華さんの水着だって素敵ですよ?それって新作ですよね?」


「あっ、気付いてくれた?そうなの~。一目惚れして思わず買っちゃった。純恋ちゃんの水着ってどこのお店の?」


きっと彼女は分かってて聞いている。


これがファッションビルの中に入っている平凡なお店の水着だと。


自分の水着より0が一つ少ない金額だって分かってる。


だから、こんな意地悪な質問をしてくるんだ。


そうだよ、悪い?


これ、去年買った水着だもん。


毎年水着買うほどお小遣い多くないし。



「どこで買ったのか忘れちゃいました」


悔しいから平然とした顔でそう答える。


「ふぅ~ん」


麗華さんは口の端を持ち上げてクスッと笑った。



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