純恋〜スミレ〜【完】
「へ~。綺麗にしてるんだね~」
二階の角部屋にある優輝の部屋に入り、思わずそう漏らす。
6畳ほどのフローリング。
ローテーブル、テレビ、ベッド、本棚……――。
余計な物がほとんどないシンプルな部屋。
「純恋の部屋は物が多くてゴチャゴチャしてそう」
「ちょっ、失礼な!!」
「図星か?」
「べ、別に図星なんかじゃ……」
化粧品、洋服、雑誌、ヘアアイロン……確かに色んな物がたくさんある。
だけど、そこそこ片付いている……はずだし。
頭の中で自分の部屋を思い出して苦笑いを浮かべる。
「ねぇ、そういえば今日って家族いないの?」
玄関先で『おじゃまします』って言ったけど、何の反応もなくて。
家の中もシーンっと静まり返っている。