純恋〜スミレ〜【完】
「純恋ちゃん、見ない間にずいぶん大人っぽくなったね~」
喉を鳴らしてアイスコーヒーを飲んだ後、ヒロさんはにっこりと笑った。
その右手の親指は黒い携帯のボタンの上で器用に動く。
「そうですか?全然ですよ」
「いやいや、大人っぽいよ。叶恋と一つしか違わないのに。あいつはまだまだガキっぽいし」
「ガキ……ですか?」
ガキって言葉にちょっぴりカチンとして聞き返す。
達也もあたしをガキって言った。
4つしか歳の違わないあたしを。
ヒロさんも叶恋をガキって言った。
3つしか違わないのに。