純恋〜スミレ〜【完】
―――………
≪ブーッブーッ≫
ベッドの上の携帯が震えてる。
『……もしもし?』
『純恋?マジ、ごめん!!』
手を伸ばして耳に当てると、優輝の低い声が耳に届いた。
部屋の掛け時計の針はもう20時を回ってる。
ベッドサイドに座って1時間近くぼんやりとしていたみたい。
『ううん、いいよ……』
『今、家か?』
『そうだよ』
『無理ならいいけど、ちょっと出てこれねぇ?』
『え?』
『今、純恋の家の前にいるんだけど』
『へぇ……、って、うちの前!?』
『あぁ。ちょっとでも顔見たくて』
慌てて窓を開けて道路を見ると、家の前に立っていた優輝が軽く右手を上げた。
『そこで待ってて!!今行くから』
あたしは慌てて階段を駆け降りると、
「ちょっと、出てくる!!」
リビングにいたお母さんに声をかけて、玄関の扉を力いっぱい開けた。