純恋〜スミレ〜【完】

「純恋」


「……え?」


「ごめんな」


すると急に、優輝はあたしの手首を掴んで自分の方に引き寄せた。


あたしはその拍子で優輝の大きな胸に包み込まれる。


「優輝……苦しいよ」


「ずっとこうしたかった」


「もう……」


「何かあっただろ」


「え?」


「さっきから泣きそうな顔してる」


「……あたし、泣きそうな顔……してた?」


「あぁ」


優輝にはバレてたんだ。


隠してたつもりだったんだけどな。


< 212 / 487 >

この作品をシェア

pagetop