純恋〜スミレ〜【完】
「純恋」
「……え?」
「ごめんな」
すると急に、優輝はあたしの手首を掴んで自分の方に引き寄せた。
あたしはその拍子で優輝の大きな胸に包み込まれる。
「優輝……苦しいよ」
「ずっとこうしたかった」
「もう……」
「何かあっただろ」
「え?」
「さっきから泣きそうな顔してる」
「……あたし、泣きそうな顔……してた?」
「あぁ」
優輝にはバレてたんだ。
隠してたつもりだったんだけどな。