純恋〜スミレ〜【完】
涙色
「ねぇ、純恋。叶恋とケンカでもしたの?」
「……別に。ていうか、叶恋……また朝ご飯食べなかったの?」
「そうなのよ。ダイエットしてるからいらないって。ダイエットなんてする必要ないのにね」
パジャマ姿のまま階段を降りてダイニングテーブルに座る。
叶恋の席に置かれたプレート。
冷え切ったスクランブルエッグにしなっとしたトースト。
心配そうな表情を浮かべるお母さんに心の中で『ごめん』と謝る。
全部、あたしのせいなの。
一週間経った今も、叶恋はあたしと話すことはおろか目すら合わせてくれない。
朝食もとらないし、あたしを避けるように先に学校に行ってしまう。