純恋〜スミレ〜【完】
放課後。
あたしは一人である場所に繰り出した。
スーツ姿のサラリーマンや制服の学生が次々にあたしの前を通り過ぎていく。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
自分にそう暗示をかけて深呼吸を繰り返していると、
「……純恋……ちゃん」
レストランの裏手のドアからヒロさんが姿を現した。
「どうしてこんなところに……?」
「突然、すみません。さっき外から、ヒロさんの姿が見えて。ヒロさんが何時上がりか分からなかったので、ここで待ってました」
「そっか。俺に……何か用?叶恋のこと……?」
ヒロさんは気まずそうにクシャクシャと茶色い髪をいじる。
大丈夫。
今すべきことはちゃんと分かってるから。