純恋〜スミレ〜【完】


「……――叶恋!?入るよ!!」


急いで家に帰ると、玄関先に叶恋の茶色いローファーが目について。


そのまま階段を駆け上がって叶恋の部屋の前に立ったあたしは、返事も聞かずに部屋の扉を開けた。


拒否されるかもしれない。


そんなことを考える余裕もないくらい、慌ててた。


伝えたくて。


この想いを今すぐ、全部叶恋に……――。



「……――お姉ちゃんさぁ、人のこと言えないじゃん」


部屋の扉を開けると、制服姿の叶恋がゆっくりと振り返って唇を尖らせた。


< 232 / 487 >

この作品をシェア

pagetop