純恋〜ｽﾐﾚ〜【完】

「……自分から別れようって言ったくせに、まだヒロが好きなの。どうしようもないくらい、ヒロが好き……!!」


叶恋はあたしの胸にグリグリと顔を押し付けて、声を上げて泣く。


それでいいんだよ、叶恋。


どうしようもない気持ちを胸に抱え込む必要なんてないんだから。


辛い時や悲しい時、一人で抱え込まないで。


泣いていいんだよ、泣きたいだけ。


泣くことは悪い事なんかじゃないよ。


涙が枯れ果ててしまうくらい泣いた後に、ほんの少しだけ顔を上げればいい。


そうすればきっと、泣く前とは別の世界が見えるはずだから。



「……大丈夫。叶恋ならきっと乗り越えられるよ」


「うん……」


あたしがそう言うと、叶恋は鼻をズズッとすすりながら頷いた。


あたしはそんな叶恋に「ひどいことたくさん言ってごめんね」と謝りながら、震える体をギュッと抱きしめた。