純恋〜スミレ〜【完】
「じゃあ、これで……――」


店を出てそう切り出すと、麗華さんはあたしの言葉を遮る様にこう言った。


「ちょっと付いてきてほしいところがあるんだけど」


「え……?」


「ここからそんなに遠くないから。ね?お願い」


麗華さんはほぼ無理やりあたしの腕に自分の腕を絡ませて歩き出す。


その間も、ポケットの中の携帯は震え続けていて。


喫茶店を出たらすぐに優輝に連絡しようとしていたのに、これじゃ電話どころかメールすら出来ない。

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