純恋〜スミレ〜【完】
「……――純恋?何で電話でねぇんだよ。今、どこ?」


「優輝……」


「どうした?今、外?誰かと一緒にいるのか?」


「あたし……」


「純恋?何かあったのか……――?」


耳に届く優輝の声。


世界一愛おしい人の声。


もう二度と聞けなくなってしまうかもしれない声。




「ねぇ、優輝……」


「純恋。どうした?お前がいるとこまですぐにいくから場所を……――」


「……――ってあたしなの?」


「わりぃ、よく聞こえない」


「……――優輝のお兄さんの命を奪ったのは……あたしなの?」


絞り出した声でそう尋ねると、優輝は少しの沈黙の後、こう言った。

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