純恋〜スミレ〜【完】
この日、あたしは意を決して家から歩いて20分ほどの図書館へ向かった。
館内はシーンっと静まり返っていて普通に歩いているだけなのに、ひどく音に敏感になる。
図書館にやってくるのは何年振りだろう。
寝不足でぼんやりとする頭の片隅でそんなことを考えながら、過去の新聞を扱っているコーナーにやってきた。
今から5年前のあの日の事故を調べるために。
その新聞を見れば、全てが明らかになる。
あたしは5年前の新聞を手当たり次第開いていった。
≪飲酒運転のトラック、交差点に突っ込む≫
≪少女を助けた大学生、即死か≫
その新聞記事はすぐに見つかった。
あの事故の記録は、今もまだ当時の新聞の地域欄に残っていた。