純恋〜スミレ〜【完】

この間、優輝から届いたメールを思い返す。



――――――


今、純恋との想い出の場所にいる。


ここに来れば、純恋に会える気がして。


いるはずないって分かってんのに、バカだよな。


でも、どうしようもなく会いたいんだ。


俺、純恋に会いたくて仕方ない……。


――――――


ねぇ、優輝。


不思議だよね。


確信はないけれど、今、優輝があたしを呼んでいる気がするんだ。


あの公園で、あのベンチに座って……――。



「……――あたし、ちょっと出掛けてくるから」


「えっ!?今から!?」


「うん」


「やめときなよ~。外、すごい雨だよ?」


「大丈夫」


「後でにしなよぉ~!!」


「今じゃなきゃダメなの!」


あたしは引き止める叶恋を振り切って、玄関を飛び出した。



< 289 / 487 >

この作品をシェア

pagetop