純恋〜スミレ〜【完】
別れたよ、昨日。
散々浮気されて、『別れよっか?』って言ったら、何も言わずに煙草吸ってたよ。
引き止めてもくれなかったし、それどころか目を合わせようともしなかった。
でもね、そんな男を懲りもせずにまだ好きなの。
「あたしのことなんてどうでもいいじゃん。ていうか、叶恋の学校そっちでしょ?」
分かれ道にさしかかってそう言うと、叶恋は唇を尖らせた。
「あ~あ。あたしもお姉ちゃんと同じ学校にすればよかったなぁ~」
「ハァ?勘弁してよ」
「ひっど~い。てかてか、帰ったら前髪切ってくれない?横分けやめてパッツンにしようかなぁって」
「だったら、美容院いけばいいのに」
「だってお金ないんだもん。それに、お姉ちゃんって何でも器用にこなすじゃん?」
「あんたが不器用なだけ。あたし別に器用じゃないから」
「器用だよ~!!」
「はいはい。ほら、早く行かないと遅刻するよ?」
「はぁ~い。じゃ、またね」
ブンブンっと手を振って背中を向けて歩き出す叶恋。
その後ろ姿には幸せのピンクオーラをまとっている。