純恋〜スミレ〜【完】

助手席に放り投げてあったタバコに手を伸ばした大悟君。


箱からタバコを一本取り出して、火をつけようとした時。


「……――アンタってタバコ吸う?」


ルームミラー越しに大悟君があたしを見つめた。


「吸わない」


そう答えながら首を横に振ると、大悟君はくわえたタバコを黙って箱に戻した。



……――信号が青に変わる。


大悟君はゆるやかにアクセルを踏み込むと、タバコに火をつけることなく窓を閉めた。



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