純恋〜スミレ〜【完】
「純恋、起きたのか?」
「……――優輝……」
「どうしたんだよ」
「だって……優輝が……いなくなっちゃったのかと思って……」
反射的に立ち上がって優輝の体にギュッとしがみつく。
優輝と会ったら何を言ったらいいのかとか、
どんな顔をしたらいいのかとか、
そんなことを考えていたのが嘘みたい。
優輝を目の前にしたら、そんなことを考える前に体が勝手に動いて。
頭より先に、あたしの体は優輝の温もりを求めた。
「純恋を残していなくなるわけないだろ」
そんなあたしの体を大きな胸で受け止めながら、優輝は優しくあたしを抱きしめる。