純恋〜スミレ〜【完】
「……――れ。純恋、そろそろ起きろって」
「んっ……。もう起きてるから」
「目、開いてないし」
「開けてなくても起きてるの。ていうか、起こしに来なくても目覚ましかけてるから自分で起きられるし」
何で今日に限って、お母さんが部屋まで入ってくるわけ?
あたし、叶恋とは違って一人で目覚ましで起きれるのに。
「……ハァ?純恋、寝惚けてんだろ」
クックと喉を鳴らして笑う低い声。
「別に寝ぼけてないし……――って、あれ?」
お母さんのものとは明らかに違うその声に思わず目を開けると、ベッドサイドに腰掛けた優輝があたしを見つめて笑っていた。