純恋〜スミレ〜【完】
「家まで送っていく」
優輝はそう言うと、あたしの頭をクシャクシャと撫でた。
もう二度と、その手で触れられることはないと覚悟していたのに。
全ての真実を知った今も、あたしと優輝は付き合い続けている。
あの事故のことをなかったことになんてできっこない。
だけど、乗り越えていく勇気も必要で。
あたしと優輝は、あの事故を乗り越えられたのかな……?
まだ乗り越えられていなかったとしても大きな一歩を踏み出したことは確かで。
もう何も迷う必要なんてない。
ただ、優輝と過ごすこの日々があたしにとって何よりの宝物だから。