純恋〜スミレ〜【完】
「教科書189ページ、問3の公式は――……」
授業中も先生の声なんて何にも頭に入ってこない。
頭の中を埋め尽くすのは、達也のことだけ。
もう大学行ったかな……?とか、
あたしと別れたことちょっとは後悔してるかな……とか、
放課後、内緒であのピカピカのプレジデントで校門の前まで迎えに来てくれるかな……とか。
そんなことあるわけないのに。
自分に都合の良い妄想ばっかりして、その度に虚しさが込み上げてくる。
≪新着メールはありません≫
センターに問い合わせても達也からのメールはない。
別れようって言ったのはあたしのほうなのに、今すぐここを飛び出して達也のアパートまで様子を見にいってしまいたい衝動にかられる。