純恋〜スミレ〜【完】
何気なく右隣の席の男子に視線を移すと、彼は机の下に隠した黒い携帯をしきりにいじっていた。


その動作を終えると、彼は教室の一番前に座る女の子を見つめた。


彼女の小さな頭が先生にお辞儀しているように下がる。


そして彼女は先生が黒板に文字を書いている間に振り返り、右隣の彼にニコリと笑いかけた。


幸せそうな二人。


山城君とミナちゃんって確か、一年の時から付き合ってるんだよね。


同じ教室の中にいてメールのやり取りするなんて。


ていうか、振り返ってまでアイコンタクトするってなに?


どんだけラブラブなの?


そう思う気持ち3割、羨ましい気持ち7割。


ああ、やっぱりあたしって嫌な女だ。


達也に浮気されて愛想尽かされるのも無理ないかも。






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