純恋〜スミレ〜【完】
「何それ。あたしがいつも優しくないみたいな言い方しないでくんない?」
あたしは前を向いたまま、嫌味を返す。
そうでもしないと、叶恋に見られてしまいそうだったから。
ポロリと零れ落ちた一筋の涙を。
「そんなつもりで言ったんじゃないよ~!!」
「はいはい。あたし、着替えるから5分くらい待ってて。準備出来たら呼ぶから」
「了解で~す!!」
涙が止まらない。
堪え切れずに部屋に飛び込むと、後ろ手に扉を閉めて床に座り込む。