純恋〜スミレ〜【完】
p.m5:00
優輝との待ち合わせ時間まであと1時間をきった。
≪学校から帰ってきたら、家から出ないで待っててね。もし必要な物があったら、メールして?≫
夢を現実にさせないためには、まず優輝を家から出してはいけない。
家からでなければ、事故にあうこともない。
優輝が死んでしまうこともない……。
≪純恋の家まで迎えに行くって≫
≪ダメ!!お願いだからあたしのいうこと聞いて?≫
そんなやりとりを何回かするうちに、降参したらしい優輝。
≪分かった。家で待ってる。気をつけてこいよ?≫
あたしはホッと胸を撫で下ろすと、ベッドの上のバッグを手にとって部屋の中をグルりと見渡した。