純恋〜スミレ〜【完】
「フゥ……」


公園まであと一歩というところで深く息を吐く。


会った時、達也は何て言うんだろう。


寄りを戻したいって言われたら……


きっとあたしは自分に言い訳をして首を縦に振るに違いない。


達也が浮気したことをなかったことにして。



「あ……」


公園の入口まで辿り着いた時、ふと近くの自販機に目がいった。


話し合いの時、手持ち無沙汰になっちゃいそうだしジュースでも買っていこうかな。


自販機の前まで行くと、さっきまでいなかった高校生が立っていて。


この制服……叶恋と同じ高校だ……。


あたしよりも頭一つ分以上背の高い男の子。


長くて茶色い襟足がYシャツにかかっている。


< 45 / 487 >

この作品をシェア

pagetop